雑種強勢
生殖機能をもつ動植物は狭い範囲での交配(人間でたとえると、近い親戚同士などでの近親婚)をくり返していると、遺伝的多様性の低下をもたらしやがて生命力が衰え、貧弱になってきます。これを近交弱勢または自殖弱勢と言います。
逆に遺伝的に遠い組合せでの交配は、より大きく丈夫になる傾向があり、この効果は、両親の遺伝形質が遠く離れていればいるほど、顕著に現れます。これを雑種強勢(ヘテロシスまたはハイブリッド・ビガー)と言います。
※遺伝的に離れすぎていると逆に貧弱になったり生育不良を起こしてしまうこともあります。
メンデルの第一法則「優性の法則」
メンデルの第一法則「優性の法則」により、異なる形質を持つ親をかけ合わせると、その第一代の子(F1=雑種第一代)は、両親の形質のうち、優性だけが現れ、劣性は陰に隠れます。あらゆる形質でこの優性遺伝子だけが発現するため、交配種は、一見まったく同じ形にそろいます。
※ここでいう優性、劣性とは、異なる二者をかけ合わせた時、表面に出るほうを優性、隠れるほうを劣性といいます。どちらかがもう一方より優れた性質であるということではありません。
この雑種強勢とメンデルの優性の法則を利用して作り出されたのが一代雑種(F1)の野菜たちです。丈夫で栽培しやすく均一にそろう事、固定品種より短期間で優れた性質を導入しやすい事、また種子の再生産が出来ない【後述】ため品種の管理がしやすい事等から種苗メーカーを中心に多くの一代雑種(F1)が作られています。
一代雑種(F1)の種子について
ちなみに一代雑種(F1)の子(F2)は形質がバラバラになってしまう(メンデルの「分離の法則」)為均一で生産性のある野菜の栽培が困難になります(種子の再生産が出来ない)。もちろんこれら(F2、F3…)から選抜を繰り返して固定種を作ることはできます。